↑この記事は私が投稿した中で一番「スキ」がつきました。
もともとは私が匿名SNSで出会った(といっていいのかどうかは不明ですが)とあるひとりの字書きの方へ向けて執筆したものだったのです。
人がアカウントを突然消すのはなぜなのか。
この記事にハッキリとした答えというものは用意していません。
ですが、私もかつて「突然姿を消すのがあたりまえ」だと思っていた人間の一人として、自分の人生と経験から一つのケジメのようなものを書き記しておかないといけないなと考えました。
よかったら最後までお付きあいください。
1、匿名SNSでアカウント消しの告白を見た
「SNSは優しいひとから消えていく」という記事の執筆秘話。
ある日、スマホで匿名SNSに寄せられたオタクの絵描きや字書きの人の悩みや愚痴を閲覧していたときのことです。
とある字書きの方の告白にも近い、心情の吐き出しを目的とした長文の書き込みが目についたので読んでみました。
内容はアカウント消しにいたるまでの経緯でした。
その方はものすごく純粋で、素直で、人をサポートする力にも長けていて、自分の弱さや辛さもすべて認められる強さと優しさが文面からにじみ出ており、匿名SNSなのに読みながら思わず涙が出てきてしまったのです。
ひとことで表すならとても感受性の強い「優しいひと」でした。
その字書きの方は自分のことを「底辺字書き」と称していましたが、やっていることがとても「底辺」だなんて言えるようなものではなかった。
詳細は伏せますが、この方はあることがキッカケで自分のどす黒い感情が漏れ出る前に、だれにも言わずアカウントを消してきたと告白していました。
自分がこれまでつながってきた人たちが遠い存在になってしまったと。
その現実を目の当たりにしたときに嫉妬心が湧き出てきてしまったと。
自分を支えてくれたり、あるいは自分がサポートをしていた相互さんからの温かい言葉も受け取れなくなってしまった。
とつぜん創作に対しても人間関係に対しても、気持ちがフッと切れたと。
そう述べていたのが印象的でした。
2、人はなぜ、突然すがたを消すのか
私はこの字書きの方からそれまでフツウに活動していたのに、とつぜん姿を消す人たちの心理的な一端を感じ取りました。
実というと、匿名SNSではSNSでのアカウント消しの告白をしている人は少なくないのです。
アカウントを消す理由の詳しい内容はひとりひとり違います。
「SNSは優しいひとから消えていく」という記事で書いたように、自分の作品への評価やまわりの人間関係など、SNSから受け取りすぎたノイズの場合もあります。
私とかつて付き合いのあった字書きの友人だってジャンルを変えるたびに、いきなりアカウントを消していました。
わけを聞いても「気分を変えたかった」とか「なんとなく」と言っていましたし、はっきりとした原因らしい原因がないという人もいる。
仮に「アカウント消します」みたいなことを事前告知してもオタク界隈だと「こいつインフルエンサー気取りかよ」「ハイハイかまってちゃん乙」「どうせ消さないんだろ?」という反応が来る可能性がなきにしもあらず。
そういう反応が来ればまだマシなほうかもしれません。大抵は誰からも反応がもらえなくてかえって孤独感をつのらせるだけですから。
よほどの人気者でもない限り黙って消えるのは珍しくないことです。
まあ、たとえ人気者でもいきなり消える時は消えるけどね…。
それに、わりと「自分のことなんか誰も気にかけたりしないだろう」と感じている人は多いのではないでしょうか。表面からは掴めなかったりします。
私もむかし個人サイトで二次創作をやっていた時、上記の理由でなんの告知もせずに消したことが何度かあります。自分がいなくなって困る人なんていないと思っていたから。惜しまれるに値しない人間だと感じていたから。
私の経験上、交流の有無にかかわらず「黙って消えるのが普通」と考えている人もいることはたしかです。オタク界隈だけの話といわれたらそれまでかもしれませんが。なにせ非常に狭い世界でくらしている人間なので。
SNS疲れからくる電池切れは、人によってタイミングがまちまちだったりします。告知をしてから退会する人は周りの方への気づかいもあるかもしれないけれど、なんとなく自分の電池残量がわかるのかもしれません。
私がnoteで退会することを告知をしたのはある意味成長したともいえます。
むかしの私だったら確実に黙って消えていたので。
あの記事を書いたからにはそうするわけにもいかなくなった。
いままで色んな人から支えてもらっておいて無責任にいなくなったりしたら、この先の人生でまたおなじことを繰り返すのではないか。
野良ネコだって恩を感じたら旅立つ前に礼を言いにくるのに。
いちおう(心の中では)野良絵師のつもりなので、せめて礼儀ぐらいは野良ネコと同レベルまでもっていこうと思ったわけです。
3、必死こいて文章を考えた
匿名SNSで本人宛にコメントを書くこともできたけど、それだけではなにも解決しない気がしました。
これからもあの子とおなじ痛みを味わう人が出てこないともかぎらない。
それならいっそ、きちんとした記事にして、多くの創作者がなんとか踏みとどまるようなものが自分に書けないか。
どす黒い感情を抱えながらでもいいから、自分で創作の灯火を消すようなマネはしないでほしい。なんならもう一度やるキッカケが作れないか。
ない知恵を振りしぼって、必死こいて考え抜いたエールがあの記事だったのです。
私は匿名SNSで出会った、たったひとりの字書きのあの子を頭に思い浮かべながら本気で執筆しました。
何度も何度も推敲して、おかしなところはないかチェックして、構成にこだわったり人に寄り添える文章になっているか、自分が読み手だったらどう感じるか。
丁寧に時間をかけて作り上げました。
完成させてから冷静に振り返ると、相手には相手の自由があるわけですから、この行為は独りよがりで突っ走っているだけという見方もできるなと気づきました。
ただ、先日アップした記事にも書きましたが「孤独な創作者を救いたい」という信念は、ときに私のコントロールが効かないくらい前進させる力を発揮するのです。
はっきりいって自分の動機や行動が理解されるとは思っていません。
それに、匿名というと5chみたいにギスギスした荒くれモンやヤバイ人間が集まる場所だというイメージがあるかもしれません。
そのあたりは否定しませんが、なかにはごくわずかですが、思いやりのあるやりとりをしている匿名SNSもあります。
顔も名前も出さずにIDだけで本音をさらけ出せる場所は昔より増えてきています。それだけ人前では言いにくいことを抱えている人がたくさんいる。
私がその子の書き込みと出会ったのも、そのうちのひとつだったわけです。
それがきっかけとなって執筆した記事を投稿したら自分の予想を超えて、思った以上に多くの方に届けられたのは本当によかったなと思いました。
4、おわりに
私は人から理解されなくても、これからも公序良俗に反しない範囲で自分がしたいと思ったことは実行していきます。
「孤独な絵描きを救いたい」という長期的な目標ができたので、あきらめずにアプローチ方法を探ろうかと。
人がいきなり消える理由はわからなくても、みんなどこかで復活したり、転生先アカウントで元気にやっているかもしれません。
これまでの交流で育んだものは無駄だったのかと、落胆することもあるかもしれませんが、それについては残された側が考えてもわからないのです。
あなたがていねいに結んだ縁が切れても、あらたに結んだ縁ではべつのかたちでいいことが起きるかもしれない。
かつての私は「いきなり姿を消す人間」でした。
でも、noteという場所では告知をしてから退会するという選択がとれるほどに、精神的に成長することができたのです。
それは今までコメントやスキなどを送って応援してくださったみなさんのおかげなのです。アラフォーになってようやくここまでたどり着けました。
あなたが前向きに、誠実に、ていねいに交流を重ねていけば突然ぷっつり断たれるような、悲しいお別れを目にする機会もだんだんと減るのではないのでしょうか。
みなさん、これからも素敵な創作ライフを送ってくださいね。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

最後の見出し画像boy。ネットの海に沈んでいくのか、浮上するのか。