村上ラヂオ1の感想

ネタバレありの感想文です↓

「村上ラヂオ」 村上春樹

感想とは一切関係ないけどこの本、なんか見覚えのあるタイトルや内容が多い。
以前にどこかで読んだかもしれない…。でも思い出せない…ぐぬぬ。

自分の記憶にもやっとしつつ、内容の感想です。
今回も物凄く面白くて一気に読み終わってしまいました。
友人同士の他愛のない会話に使えそうなネタからちょっとしたお役立ち?情報まであって、普段から行動範囲の狭い自分にとっては興味深いものばかりでした。
表紙は大橋歩さんの描いた版画なのですが、とっても可愛らしいです。ほっこり系。
けど、一番「へえ」とか「なるほど」と唸ってしまったのはやっぱり作家としての村上春樹さん本人にまつわるネタですね。
特に好きな食べ物の話と小説家になってからこんなことがあった、という体験談。
気のせいかもしれないけどこの二つと音楽の話はやたらと感情的かつ生き生きと語られているなあと感じました。
好きなことに関してはついつい熱くなってしまうよね。

印象的だったお話を一つだけ挙げるなら「かなり問題がある」というタイトルではじまるお話。
村上春樹さんはデビュー当時あんまり文芸界の方々に好かれてはいらっしゃらなかったようでして。
出版部長?にあいさつに行けばなげやりな言葉を吐かれて、本人の知らないところでは批判やらなんやらが飛び交っていた…というエピソードは村上春樹さんの書かれるエッセイにたびたび登場します。
よく考えてみれば受賞作決めるのは出版社なのに何で社内で文句や批判が出るのか不思議。
ただ、自分の作品について「問題がある」と指摘を受けてからの開き直り方がいさぎよくてちょっと笑ってしまった。
ドイツの有名な女性文芸評論家がTV番組で村上春樹さんのとある作品について批判した後、レギュラーコメンテーターを降りたそうです。
そのとある作品ってのが「国境の南、太陽の西」なんだけど、よりにもよってどうしてこれを取り上げたんだろう。
私としてはあの作品は「不倫」というイメージがどうしてもつきまとうので。
登場する一部の女性が可愛そうなことになったりするし、まあ、批判する側の気持ちはわからなくはないけど番組降りるほどかな?とも感じます。
あとその評論家の「文学的ファースト・フード」っていう例えもなかなかインパクトがありましたね。
「文学的ファースト・フード」があるなら「文学的スローフード」もあるのかしらん。

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