村上ラヂオ2の感想

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こんなにでかいカブがあったらどうしたろうかしゃん。
村上ラヂオ2のサブタイトルに「おおきなかぶ、むずかしいアボカド」とあったのでとりあえずおおきなかぶを描きました。
このかぶはきっとあんまりおいしくない。
そして誰も引っ張らない。
穴を空けて住居にするのがベストかな。

以下ネタバレありの感想文↓

 

「村上ラヂオ2 おおきなかぶ、むずかしいアボカド」 村上春樹

またしても表紙のイラストが良い味出しています。
「おおきなかぶ」という絵本のオマージュなのでしょうか。
人間や犬や猫がみんなでおおきなかぶを引っ張り上げています。

このエッセイすべてのタイトルに感想を書きたいくらい面白かったです。
でもさすがに50編もあるので好きなのをいくつかピックアップしてまとめます。

「体型について」
世界中から集まったスーパーモデルと銭湯で出くわしたら「こんな機会はめったにないぞ」と思ってまじまじと、とまではいかなくてもチラチラ見るかもしれない。

「エッセイはむずかしい」
これはちょっと意外だなと思いました。
エッセイより小説の方が描くのむずかしいのではと考えていたので。
最後の一行に関しては「安心してください、もっていませんよ」と、言いたい(某芸人のギャグのごとく)。

「アンガー・マネージメント」
体のいい食い逃げをした副社長はいったいどこの企業の人だろう。
すごく気になる。
何せ村上春樹さんが腹を立ててから一度もその企業の店舗に足を踏み入れてないくらいだし。
怒りって時間がたてば消えてなくなる類のものもあるけど死ぬまで消えないものもあると思います。

「右か左か」
左利きの人がピストルで自殺するのはむずかしい、という旨のお話。
左利きで思い出したんだけどFF4のカインは自殺するとしたらやっぱり槍で自分の体を突くんでしょうか。
ゲーム上のアクションでは斬ってるモーションだからわざわざ刃先のあたりまで持ち替えて斬るのかな。
FFってバトル中に「たたかう」コマンドで自分に合わせることも可能だけど自殺行為を積極的に行うキャラクターを想像するとかなりシュールだよなあと時々思います。

「手紙が書けない」
これも(村上春樹さんにしては)意外だなと思ったことの一つ。
小説家にしろ何にしろ「文字」を書くことを生業としている人たちは手紙や日記もよく書くのだろうと勝手に想像していたので。
私個人としては手紙も日記も書くことはできるけど「年賀状が書けない」。

「オフィス・アワー」
創作活動をしている人は結構興味深い話題なのではないかと。
創作物ってのは往々にして見る人によって評価ががらりと変わる…っていう主旨。
話の内容とは少しずれるけどこれに関してはよくわかる事例が二つある。
一つは美術館限定グッズ売り場。
何でこの絵がグッズになってあの絵は一つも商品化されないんだ?という場面に何度か遭遇したことがある。
もう一つは友達の創作物の批評シート。
友人が昔複数の出版社の賞に応募したことがあるのですが、郵送されてきた批評シートの内容が出版社によってばらけていたそうです。
実物をいくつか見させてもらったことがあるのですが、感情的に長文で批評する人もいれば短く簡潔に要点だけ絞って指摘する人もいました。
ちなみに応募した創作物は出版社ごとに異なるものです。
まさしく人によって評価が変わる例だなと。
村上春樹さんいわく、合わないものを押し付けられるのも一つの教育とのことです。
自分にとって何が大事か知るためには必要なことかもしれないですね。
最初はイヤかもしれないけど本当に合わないなと感じたものはそのうち自然に離れていくし。
創作に限らずどのような場面でも同じ。

「太宰治は好きですか?」
何度目かわからないけどまた村上春樹さんの意外な一面が見えました。
苦手だったんですね、太宰治。
太宰作品は嫌いではないけどいかんせん読みにくい、というのが私の個人的な感想です。
三島由紀夫が太宰治に直接「あなたの文学は嫌いです」と言った光景はなんとなく想像できる。

「他人のセックスを笑えない」
サッカー中継のハーフタイム中にAVが流れてもまったく動じないどころか、中継再開した途端にまた応援モードに入るドイツ人のメンタルはいったいどうなっているんだ。
関係ないけど海外のAVってミュートにして見ると何かの競技に見えてくることがある。
体柔らかい人が多いし鍛えている人がほとんどだし。

「おいしいカクテルの作り方」
おいしいカクテルを作れる人は生まれつきそなわったなんらかの才能がある、というお話。
うーん、そうなのかな。
「おいしいカクテルが作りたいッ!」っていう気持ち次第のような気もするけど。
私はビールが飲めないので専ら最初の一杯はカクテル(だいたいカシスウーロン)を頼むのですが、店によってはびっくりするくらい不味いの出すところありますよね。
そんなの飲むくらいなら自分で作らせてほしいよ、ホント。

「おおきなかぶ」
今昔物語にも大きな蕪の話があったんですね。
こちらはいくらかぶっ飛んだ内容ですが…。
なんというか、日本人って昔から斜め上の発想が得意だったんだね。
野菜とアレするのはまずかろうて。

「決闘とサクランボ」
続きが気になって思わずプーシキンの短編集借りてしまった。
「その一発」は短いけどうまくまとまっているお話です。

「男性作家と女性作家」
作家が男女別に分かれている小説コーナーのある書店に入ったことがないです。
どこの本屋さんだろう?
あと海外の大きな書店には「ゲイ・レズビアン作家コーナー」があることを初めて知った。
どんな本が置いてあるんだろう?

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