「非正規レジスタンス」 石田衣良
「ドラゴン・ティアーズ-龍涙」 石田衣良
「サラダ好きのライオン」 村上春樹
の三冊を読みました。
上二冊は池袋ウエストゲートパークシリーズです。
ネタバレ有りで以下感想文↓
「非正規レジスタンス(池袋ウエストゲートパークⅧ)」 石田衣良
表題作の非正規レジスタンスはとある元・ブラック派遣会社に関する事件が元ネタになっています。
私も昔その会社に登録して一年ほど働いていたことがあるので架空の物語といえど、その当時の様子を思い出さずにはいられませんでした。
就業先で理不尽な目に合ったりきついことやびっくりすることにも遭遇したけど、その後、色んなものの見方や考え方が変わりましたね。
あの謎の「天引き」についてはもっと疑問を持ち続けるべきだった…。
この物語ではわりと綺麗にめでたしめでたしとなっているけれど、いまひとつスカッとしないのは私が未だに昔の細かいことをねちねち覚えているせいだろうな。
「ドラゴン・ティアーズ-龍涙」 石田衣良
表題作はオチが衝撃的でした。
多分池袋ウエストゲートパークシリーズ史上最大の驚き。
私だったら(相手が仮に日本人だったとしても)それほど大して深い関係でもない赤の他人とそう簡単に家族にはなれません。
ましてや外国人だったらなおさら。
お人好しすぎますよ真島家の方々。
そこがいいところなんだけどね。
「サラダ好きのライオン(村上ラヂオ3)」 村上春樹
いくつかのお話はどこかで見覚えのある内容だなと思ったら数年前「anan」で連載されていたエッセイでした。
昔美容室でカラーリングの待ち時間に読んでいた記憶があります。
約50編あるのですが、どれも面白かったです。
私が勝手に抱いていた「村上春樹のイメージ」をいい意味で払拭してくれました。
そのうちの一つが本文のあとの「今週の村上」という一行コメント。
エッセイの内容に触れたものもあれば全く関係ないものもあるんですが、私が意外だと思ったのは結構ダジャレやジョークが好きだというところ。
「不倫ダイアル」と「フリーダイアル」
「用賀ヨーガ教室」
「洗剤意識」
といった単語がコメント内に出てきます。
いずれもエッセイとは何のつながりもないという…。
わあ~くだらないな~、と心の中で思いつつも実はこういうのわりと好きなのでニヤニヤが止まらないです。
この本自体面白すぎて紹介したいお話がいっぱいあるのですが一つに絞ります。
「とりあえず小説を書いてるけど」というタイトルのお話は興味深かったです。
自分が同業者同士の付き合いがないということについて短く語っているのですが、内容を読み進めていくうちに結構一匹オオカミ的な人なんだなと感じました。
あと、憧れの作家に会ったらがっかりした経験があるということにちょっとした親近感を抱いたり。
若手批評家の件は例え話だったとしても文芸関係ってずいぶん裏表の激しい世界だなあと痛感せざるを得ませんね。
小説家に気難しい人が多いのはこういう人がいるせいだからなのではないかと疑ってしまう。
そういえばプロ・アマチュア問わず、小説家同士で仲が良いケースをあまり見かけない気がする。
有名人でも親交があったのちにケンカして別れるとかそういう話が目につく。
なにか法則でもあるのかな。